寝過ごした見た風景
夜勤明けの疲れから、寝過ごして1駅先で降りた。
そこには二人の思い出がいっぱい詰まった風景が広がっている。
一緒に歩いた道、童心に帰ってはしゃいだ公園。
自然と涙がこぼれてきた。
そこは物理的な距離は近いけれども、時間は絶対に戻らない、二度と辿り着けない場所なんだ。どんなにお金を積んでも行けない場所。
私を失うのがそんなに辛いのだったら、なんでその時もっと大事にしなかったの、ベストを尽くさなかったの?という元嫁の声が聞こえてくる。
俺は、痛い目に合わないと気づけない鈍感な愚か者なのだと答える。
甘えすぎだよ。
そうだね。要するに甘えていたんだよ。
でも、でもね、過ちを許して欲しかった。俺もわがまま野郎だけど、少しずつでも改善してきたじゃないか。それは彼女も認めてくれていた。なんで、急にこんなことになってしまったのだろう。許してくれたら、まただらしなく甘えてしまう精神状態になったのだろうか。今はない。人生観が180度ひっくり返った。ただただ気づくのが遅すぎたのか。人生なんてこんなものなのかもしれないという気もしている。わからない。赦しこそ至上の甘美なる究極な愛、そこで俺は真の愛に目覚める。なんて、それを一方的に要求するのは男の傲慢か。最初から、自分が無償の愛を与えないと。それが俺には足らなかった、いや全力で愛していたんだけど、上手く伝わらなかったのだろう。